レディースユニフォーム協議会 Ladies Uniform Conference

プロの基礎知識 13 / 15

【8】ユニフォームの素材

ユニフォーム性能は、素材から

世界に冠たる日本のユニフォームは、何と言っても素材のすばらしさが特徴です。天然繊維、合成繊維、その混繊や混紡素材はたいへん奥が深く、それだけでも数冊の本が出来るほどですが、ここでは基礎的な知識を記載します。

天然繊維、合成繊維ともそれぞれの繊維ごとに製造法はまったく異なりますが、一般に天然繊維は絹を除き短繊維(繊維長が短い)、合繊は本来エンドレスの長繊維ですが、天然繊維の感触を出したり、混紡したりするため短く切って短繊維化されるのもごく一般的です。

なお合繊繊維、なかでも衣料品向けのポリエステルの生産量は圧倒的に新興工業国が多く、中国は世界シェアの4割を占めています(日本は2.4%)。中国では約千社と言われるポリエステルメーカーがあり、その製造設備は日本メーカーから買い入れた最新設備で、若い社員が作っているところが大半です。一般に中国や東南アジア製品は日本製に比べ品質が劣るようなイメージがありますが、実際はそうではないことを、お客様にはしっかり伝えましょう。

ユニフォーム素材の基礎知識

  • 獣毛
    カシミアやビキューナなど高級素材とされる獣毛は、寒く餌に乏しい山岳地帯で生息しているものが原料となり、毛に行き渡る栄養が少ないため脱毛せず、細く長い繊維となります。細くて丈夫な糸で手触りも良いため高級品とされていますが、近年はモンゴルの過放牧による砂漠化など家畜化の弊害も指摘されています。
  • ウール
    ユニフォームに欠かせない羊毛には天然のうろこ状の凸凹があり、これが羊毛の特徴となっています。この鱗形状を生かしたり、加工して強撚糸のサマーウールから厚手の紡毛生地まで多彩な生地ができます。要もは非常にシュルが多く、用途によって品種を使い分けますが、ユニフォームで良く使われる高級品種は、タスマニアウール、メリノウールなどが有名です。また同じ品種でも等級があります。
  • コットン
    一般的には繊維長が長く、細く光沢のあるものが良いとされています。主な生産地は米国、メキシコ、インド、パキスタンなど乾燥気候地地域となっています。高級品では、海鳥綿(シーアイランドコットン)、エジプト綿、中国のトルファン綿など、繊維長の長い、いわゆる超長綿が有名です。ただし、これらの品種には等級があり、同じ品種でもグレードは大きく異なります。
  • 天然繊維
    綿花(木綿)、羊毛、絹、麻が代表的な天然繊維で、これらの原料はほとんど海外から調達しています。動物や植物由来原料なので、世界各地域の気候、品種、採取法によって特色があり、高級品から汎用品まで、さまざまな等級に分類されて日本に入ってきます。日本の紡績産業は等級や品種の異なる現象をブレンドして、均一な品質を継続生産するノウハウがあり、かつては世界一の生産を誇っていましたが、現在では普及品は中国をはじめとする新興工業国が主な供給源となっています。ただし、ユニフォーム素材は高い耐久性や機能性を要求されるところから、作業服(綿混素材主体)やシャツ、ブラウス素材以外の差別化素材は、依然として日本製が優勢です。
  • 合成繊維
    ポリエステル、ナイロン、アクリルが、生産量と用途の広さから三大繊維と呼ばれていますが、それ以外にもさまざまな種類があります。また厳密には、天然の繊維素(セルロース)を使った再生繊維(レーヨン、ポリノジック、キュプラ、テンセルなど)、半合成繊維(アセテート、トリアセテート、プロミックスなど)その他に弾性繊維(伸び縮みする)としてなじみの深いスパンデックス(ポリウレタン)、PTT繊維(ポリトリメチレンテレフタレート)、高強力高弾性素材のアラミド繊維(芳香族ナイロン)などがあります。

合繊は安物?

お客様には天然繊維至上主義で、合繊混は安物と認識しておられる方がいます。現実には低級天然繊維よりは高級合繊の方が、機能性や風合い、耐久性とも優れているのですが、なかなか理解していただけません。しかし、その思い込みは、戦後、人絹と呼ばれていた粗悪な再生繊維の時代や、合繊黎明期の記憶に基づいていると言ってよいものです。誤解を解くために、私たち自らがしっかり知識を持って、お客様に合繊混の良さを説明しましょう。

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